輸送に費やすエネルギーの試算

(1) 稲ワラを原料として、年産10万kLのエタノールを製造するプラントを想定する。
(2) 乾燥重量として1 tの稲ワラから0.3 kLのエタノールが得られる(注)とするとすれば、必要な稲ワラは33万トン。
(3) 水田10 aあたり乾燥重量として500 kgの稲ワラが得られる(1 km2から500 t)とすれば、660 km2の水田から収集することになる。
(4) 20 km×33 km (=660km2)の水田があり、その中心に製造プラントがある理想的な立地を想定すると、平均片道輸送距離は13.25 km(=(20/2+33/2)/2、図参照)だが、実際には20 km以上になるだろう。ここでは仮に20 kmとする。
(5) ロールベイラーで収穫した稲ワラの密度は0.1 t/m3しかないので、大型トラックでも2 t程度がやっと。
(6) トラックの燃費を5 km/Lとすると、1往復に20×2/5=8 Lの軽油を消費する。
(7) 2トンの稲ワラからは600 Lのエタノールが得られる((2)参照)。
(8) 軽油の熱量は 38.7 MJ/L、エタノールの熱量は 22.1 MJ/Lなので、600 Lのエタノールは342 Lの軽油に相当する。
(9) (6)(8)より、この場合、エタノールとして得られるエネルギーの2.3% (=8/342×100)を消費する。

注 稲ワラから得られるエタノール
バイオマスの主成分であるセルロースは、分子量180のグルコースが脱水縮合したものであるから、1グルコースユニットあたりの分子量は162(=180−18、18は水の分子量)である。1分子のグルコースから、発酵によってエタノール(分子量46)と二酸化炭素が2分子ずつできるので、エタノールの理論収率は、46×2/162≒0.57 g/gとなる。稲ワラの炭水化物含有率は55%程度であり、これを85%の収率で糖化し、理論収率の90%でエタノールに変換できたとすれば、エタノールの密度は0.79 kg/Lであるから、乾燥重量として1 tの稲ワラから1×0.55×0.57×0.85×0.90/0.79≒0.3 kLのエタノールが得られる。年間約700万トンの稲ワラが利用可能とされているので、ここから得られるエタノールは210万kLになるが、これは日本の年間ガソリン消費量6000万kLのわずか3.5%にしかならない。